本稿では、歴史的大暴落直後あるいは真っただ中である今から、10年後に向けて投資を始める場合に、どの銘柄の期待収益率が高いのか?を計算していこうと思います。今回はビザです。
なお、第1弾はマイクロソフトでした。

ビザ基本データ
2020年5月9日終値は$185.09です。データソースは『米国会社四季報』、『yahoo! finance』、『Dividend.com』などです。
業績推移
2009年以降、各年のROE(ttm), EPS(ttm), BPS(ttm), PER, 配当データは以下の通りです。
過去の業績から『未来』を推定する
今回も、リーマンショック後の2009年~2019年の財務・業績データを基に、2029年までの期待収益率を計算しました。ただ、ビザはROEが年々上昇(自己資本率を下げているのもありますが)&EPSの伸びがBPSに依らないので、マイクロソフトと同じようには計算していません。
例えば、ビザのEPS、BPSの関係性を式にすると、
- (2009年BPS)+{2009年EPS×(1-配当性向)}≠(2010年BPS)
です。資本の伸び以上に利益がどんどん伸びていました。
(ちなみにマイクロソフトは概ね左辺≒右辺)
ということで、ビザは過去の平均EPS成長率から2020年~2029年のEPSを推定しました。
つまり、ビザは2009~2019年の10年間でEPSが$0.78 ⇒ $5.32に成長しました。
約6.8倍に成長したわけですが、単年の成長率は
- ($5.32 ÷ $0.78)^(1/10)-1 ≒ 0.21 ⇒ 21%
です。あとは、
- (2019年のEPS $5.32)×121% ≒ $6.45 =(2020年のEPS)
- (2020年のEPS $6.45)×(過去平均PER)=(2020年の予想株価)
とやっていくわけです。
なお、EPS成長率を基に未来を推定する場合に注意しなければいけないことは、
『真に利益が成長したのか、自社株買いの結果でEPSが大きくなったのか確認すること』
です。
- EPS(1株あたり利益)=利益 ÷ 発行済み株式数
ですから、自社株買いで発行済み株式数を減らせばEPSが大きくなります。
言い換えると、自社株買いは業績が成長しているように見せる経営テクニックとして使われる場合もあるということですが、EPSだけを見るのではなく、併せて利益も見るようにすればいいと思います。
儲けている多くの企業は自社株買いを行っていますし、EPS成長率=税引き利益成長率とはならないですが、大きく剥離していないことが確認できればOKだと思います。
また、『売上成長が伴わない利益増大はコスト削減によるものかもしれない』です。そうなると、その成長は継続しないですね。節約には限界があるから、やっぱり収入を増やさないと。
売上やキャッシュフローの推移も確認した方が良いと思います。
10年後の期待収益率を推定する
過去のEPS成長率を基に2029年までのEPS、株価を計算しました。
2021年以降の配当額は過去増配率を基に計算しました。配当性向が大きくなっていきますので、増配率が低下するかもしれませんし、増配率以上に(利益成長を伴って)ROEが伸びるなら増配率を維持できるでしょう。ビザの経営方針が今後も増配率を維持するものかどうかは分かりませんが。
2029年までの推定株価から、ビザを今から10年間Buy&Holdした場合の期待収益率(年平均リターン)は19~20.5%程度になりそうです。
もちろん、ROEやPERが今後も大きくなる傾向なら、上記以上の収益が期待できます。
終わりに
今回はビザの10年後の期待収益率を計算しました。
ちなみに3月末の大底、ビザは$135くらいまで落ちましたが、その時買っていれば計算上の期待収益率(年平均リターン)は24~24.5%くらいでした。
100万円分買っていたら10年後には、
- 100万円×124%^10年間≒859万円
になる計算です。年リターン19%なら、
- 100万円×119%^10年間≒569万円
ですから、やはり買値の差は大きいですね。
今回も割愛しましたが、ビザは財務も堅牢です。当座比率はずっと100%超ですし、支払利息の何十倍もたくさん稼いでいます。ああ、記事の主旨と違うのでてきとーになってきました。
これまで、マイクロソフト、ビザと未来の期待収益率を計算してみましたが、エクソンモービルとかジョンソン&ジョンソン、プロクター&ギャンブル、ウォルマート、マクドナルド、ユナイテッドヘルス、3M・・・アップルやコストコ、ウエイストマネジメント、ペプシコとか色々やってます。
今後も気が向いたら色んな企業の期待収益率について記事にしたいと思います。
第1弾マイクロソフトver. ↓

続く
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