私は2018年6月頃から米国株投資を始め、ポートフォリオの中に(2018年9月以前のGICSで言うところの)電気通信セクターに投資していました。投資していた銘柄はAT&Tとベライゾン・コミュニケーションズです。
しかしながら、2019年8月に2社とも全て売却しました。売却理由は
- 増配率が一貫して低い
- 株価成長率が低い
- セクター分散の意味でも必要ない
- 新事業へのチャレンジが必要となる同事業は今後安定ではない
などで、長期保有するメリットが無いと思ったからです。
それで、直近3記事に渡って理由1つひとつに対する記事を書いてきたわけですが、本稿では最後の理由『新事業へのチャレンジが必要となる同事業は今後安定ではない』と感じたことについて書いて締めたいと思います。
と言っても、あんまり書くことが無いのですが。
電気通信事業は参入障壁の高い安定事業
電気通信事業とは日本で言うところのNTTやKDDI、ソフトバンクのような、いわゆる昔は電話会社と言われていた企業が手掛けている事業です。主にインターネット契約やスマートフォン、携帯電話の販売・契約で売り上げをあげています。日本では電力自由化に伴って、電力会社のように各家庭に電気を売る事業も手掛けているようです。
インターネット通信、電話通信のインフラ(設備)を維持・管理していますので、毎年たくさんの設備投資費がかかります。もし、新たに同事業に参入しようとするとまずインフラを整えるための膨大な初期投資が必要で、そして既存の企業と同様に維持・管理していくための設備投資を続けていかなくてはならないため、参入障壁が極めて高い事業となります。
また、激しい競争の結果、各社のサービス・料金プランは大差ありませんし、インターネット、スマートフォンは既に充分に普及しています。そう何度も別の会社と(ましてや聞いたことのない会社と)契約し直す人は多くありませんし、新たな企業が参入しようとしても旨味がありません。
ということで、電気通信事業は世の中に必須であり、新規参入に脅かされることもありませんので極めて安定した事業です。
電気通信事業は成長しない事業
5GによってIoTの時代、あらゆるモノがインターネットによって繋がる時代が来ると言われています。それを実現するのは電気通信事業です。さまざまな事業とのシナジーが生まれ、事業の幅が広がるでしょう。契約先を変更する人も多くなるかもしれません。
でも、それは必ずしも電気通信各社の成長エンジンとなるとは限りません。5Gを実現するための新しい設備が必要となるのです。そして、旧設備と合わせて維持・管理していかなくてはならないのです。どこまでいっても莫大な設備投資費が必要な事業です。
また、同業他社に対してサービス内容に大きな差をつけられず、価格決定力を持ち得ません。
結局、5G、6Gと進歩して一時的な売上上昇を得たとしても、それらはいずれ収束し、初期投資の負債と維持管理費費用が残されるばかりなのではないでしょうか。
インターネット、携帯電話、スマートフォンとこれまで革新的な進歩があり、そしてそれらが例外なく生活に無くてはならないモノになってきたにも関わらず、電気通信セクターは市場平均を大きく下回る株価成長を続けてきました。株価成長率、そして配当成長率の低さが電気通信事業の儲けは成長しないことを証明しているのではないかと思います。
新事業へ乗り出した電気通信事業各社
自身でもこのまま事業を続けていたのでは成長が乏しいと認識し、AT&Tは映像配信事業へと乗り出し、最近ではタイムワーナーを買収しました。しかし、映像配信事業にはNetflix、Amazonなど既に強力なライバルが居ます。成功するかどうかは分かりません。
ベライゾン・コミュニケーションズはAOL、米ヤフーを買収しました。広告などネット事業へと舵を切るようです。こちらもアルファベット(グーグル)などライバル多数です。
つまり、安定していた(けれども頭打ちだった)AT&Tやベライゾン・コミュニケーションズの業績は、今後どうなっていくのか全く分からなくなった、ということです。
あと余談ですが、個人的には将来は衛星通信が主流になるんじゃないかと思っています。SF漫画や映画のように地球外のデブリに悩まされたり、ケスラーシンドロームを狙うテロが起こったりするんでしょうか?
まとめ
ということで、電気通信事業はもともと『株価成長性が小さく』、『配当成長率も小さく』、そして今後は『事業安定性も不明』となることから、自分のポートフォリオにも必須ではないし、売却することにしました。
同標題の記事です↓
続く
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