毎月、米国株に積立投資をし続けています。これまではS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが定める世界産業基準(GICS)を参考に、投資先を複数の業種(セクター)に分散させていました。投資銘柄とセクターについては以下のようにしていました。
- エネルギー ・・・ エクソンモービル
- ヘルスケア ・・・ ファイザー、ジョンソン&ジョンソン、アッヴィ
- 情報技術 ・・・ IBM
- 電気通信 ・・・ AT&T、ベライゾン・コミュニケーションズ
- 生活必需品 ・・・ プロクター&ギャンブル、コカ・コーラ
- タバコ ・・・ BAT、フィリップモリス、アルトリアグループ
- 小売 ・・・ ウォルマート
- 一般消費財 ・・・ マクドナルド
素材、資本財、金融、公共事業への投資は無し
※ 2018年9月にセクター分類の変更があり、情報技術、電気通信セクターは無くなりました。該当していた銘柄は新たに出来た情報通信セクター、通信サービスセクターに組み込まれました。また、タバコ株3つとウォルマートは生活必需品に分類されていますが、個人的にタバコ、小売は生活必需品とは性質が異なると考え、分けています。
8月に、上記の中の電気通信銘柄を全て売却しました。売却理由は
- 増配率が一貫して低い
- 株価成長率が低い
- セクター分散の意味でも必要ない
- 新事業へのチャレンジが必要となる同事業は今後安定ではない
などで、長期保有するメリットが無いと思ったからです。
電気通信株は高配当・安定
しかしながら、電気通信株は高配当です。売却時点の配当利回りは、
- AT&T ・・・ 5.98%
- ベライゾン ・・・ 4.33%
でした。ベライゾンなどはダウの犬戦略の常連銘柄でしょうし、AT&TもS&P500の中では高配当銘柄としてランキング上位でしょう。また、どちらも毎年増配を続ける企業です。配当性向も50~60%と問題ありません。
- AT&T ・・・ 34年連続増配
- ベライゾン ・・・ 12年連続増配
さらに、通信キャリア、インフラは現代の生活には必須となっています。スマホ、パソコンなどで電話やメール、インターネットが使えない世の中はもはや考えられないでしょう。公益事業と同じく国に守られるレベル、究極の安定事業と言えます。今は。
高配当だが、電気通信株の増配率は減少傾向
AT&Tとベライゾンの過去10年の配当推移を見てみます。
まず、AT&Tから。キャッシュフローも載せます。


配当額はきれいな右肩上がりであるのに対して、増配率はきれいな右肩下がりです。これは、もうずっと一定の金額ずつしか増配していないからです。毎年0.04$ずつ。キャッシュフローは上下していますが、2014年以降は上昇傾向です。他の多くの企業は業績と増配率が連動しますが、やはりAT&Tは自社成長に不安があるのでしょうか?成長見込みが無い中で大きく増配していたら将来必ず増配余地が無くなりますからね。とりあえず、積極還元する気があるようには思えません。
AT&Tの今後10年間の増配率を仮に2.0%(0.04$ずつ増配が続けば今後間違いなく2.0%以下ですが)として、売却時の配当利回り≒6.0%で購入した株は10年後利回り何%になるでしょうか?計算してみますと、
- 6.0%×1.02の10乗 ≒ 7.3%
です。後ほどこの数字は比較に使います。
次にベライゾン・コミュニケーションズの配当推移、キャッシュフローを見てみます。


ベライゾンも増配率減少傾向です。2015年からは0.05$ずつ増配しています。また、ベライゾンはAT&Tに比べて業績も安定していません。営業キャッシュフローマージンが上下しながらも減少傾向にあるように見えるのですが、大丈夫なのでしょうか?
過去10年の増配率平均≒3.0%です。AT&Tよりも増配率にバラつきがあるので10年平均を取ってみました。売却時の利回り4.33%で購入した株が10年後には利回り何%になるか、こちらも計算すると
- 4.33%×1.03の10乗 ≒ 5.8%
です。
他の高配当(不調・不人気)株の増配率を見てみる
電気通信株と同じように計算して、今購入した株の10年後配当利回りがどれくらいになるか他の銘柄についても見てみます。比較する銘柄は不調であったり、不人気セクターに属する銘柄がいいでしょう。
そもそもハイテクセクターなどの人気成長株(グロース株)は高配当にならないですが、AT&Tやベライゾンのような低成長・高配当株を狙う人はバリユー投資家なわけですから、バリユー株、ようするに業績悪化や不人気などの理由で割安になっている銘柄を比較対象にしないといけないと思うわけです。
3つくらい挙げてみましょうか。
例えばヨーグルトが売れなくなって困っているゼネラルミルズは現在配当利回り3.61%で、過去10年の平均増配率は9.1%でした(2018年は1.0%でしたが)。
- 3.61%×1.091の10乗 ≒ 8.6%
ただ、ゼネラルミルズは今割安だとも言われていますが、それは今後の業績回復次第ですね。確かに現在は同社の過去に無いくらいの配当利回りなのかもしれませんが、業績回復が無ければ株価も配当もこの先上がりません。ゼネラルミルズは比較対象として微妙だったかもしれません。
次、万年割安代表、たばこ株アルトリアグループ。現配当利回り6.95%の過去10年の増配率9.6%。今買ったアルトリア株の10年後配当利回りは
- 6.95%×1.096の10乗 ≒ 17.4%
(*´Д`)ふぁ!?
ちなみにアルトリアグループ、2018年めっちゃキャッシュフロー伸びてました。増配率も18.1%でした。だからと言ってたばこ株の不安を否定するわけではないのですが。。。ちなみにアルトリアグループは分社前から数えると49年連続増配です。

次、只今絶賛不人気エネルギー株代表エクソンモービル。原油価格に業績が影響されるので、増配率とキャッシュフローはかなり動いています。


でも、エクソンモービルは業績が上向いたら(数年後に)大きく増配しています。積極的に還元しようと頑張っているように見えます。連続増配36年目です。現在配当利回りは5%程度。過去10年の平均増配率は9.1%。今買ったエクソンモービル株の10年後配当利回りは
- 5%×1.091の10乗 ≒ 12.2%
まとめ
今買った株の配当利回りが10年後はどれくらいになっているか、推定ですが計算した各社の値をまとめます。
- AT&T ・・・ 現在6.0% 10年後7.3% (1.22倍)
- ベライゾン ・・・ 現在4.33% 10年後5.8% (1.34倍)
- ゼネラルミルズ ・・・ 現在3.61% 10年後8.6% (2.38倍)
- アルトリア ・・・ 現在6.95% 10年後17.1% (2.46倍)
- エクソンモービル ・・・ 現在5.0% 10年後12.2% (2.44倍)
業績低迷、将来不安など抱えた不人気銘柄3つと比較してみましたが、毎年少しずつ、ほぼ一定額でしか増配しない電気通信株は、今買った株の価値が将来大して大きくならないことが分かります。
電気通信事業は米国内でのみ事業を展開しており、スマホ、パソコン保有人口、インターネット使用人口が飽和していることから、これ以上電気通信サービスでは売上・利益を伸ばせないことを示しているのではないでしょうか。
逆にその他の銘柄は、今買えば10年後にはその配当価値が2倍以上になりそうです。それなら今買って長期保有する意味があるというものです。
さあ、どうでしょう。いくら今の配当利回りが高くても、将来も価値が大して変わらないものは果たして割安と言えるのでしょうか?
価値が上がっていくもの、『今』お得なものを差し置いて買うべきものなのでしょうか?
次の記事では、電気通信株は『株価成長率が低い』ことや『セクター分散の意味でも必要ない』について書いてみたいと思います。
続く
コメント