リーマンショック以降、長期に渡り好況を続けてきた米国株市場ですが陰りが見え始めました。そろそろ次の暴落が迫っているのかもしれません。しかし暴落時こそ高配当戦略投資にとってのチャンスです。高配当株を保有しているのならばそのまま売らずに買い増し続けるべきだと思います。それはなぜか。
それは株価が下がることによって配当利回りがさらに高くなるからです。私の保有株で1番配当利回りが高いのはAT&T(ティッカー:T)で平成30年10月31日時点の配当利回りは6.56%です。税引き後でも5%くらいの利回りを望めます。
AT&Tの他にも高配当銘柄はたくさんあって、例えば
- フィリップ・モリス(PM)
- アルトリアグループ(MO)
- ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)
などのタバコ銘柄は全て4~6%の配当利回りです。また、最近株価を下げ続けているIBMも5%を超える高配当です。
本稿では高配当戦略において、株価暴落時に保有株を売らずに買増すべきだと考える理由について書いていきたいと思います。
高配当戦略とは?
株式投資において儲ける方法は2つあります。1つは買値と売値の差額(キャピタルゲイン)で儲ける方法。もう1つが配当収入(インカムゲイン)を得る方法です。高配当戦略とは長期に渡ってより多くのインカムゲインを得るべくポートフォリオを組み、買い増し保有を続ける戦略だと理解しています。
値上がり益キャピタルゲイン
キャピタルゲインを求める場合、例えば安く買って高く売る必要があるため株価の動きが重要になります。株価は企業の業績や経済情勢、人々の期待によって変動し、読み切ることが難しいです。プロでも勝ち続ける人はほとんどいません。
また、日々の株価、ニュースのチェックが必須となりますので、会社員など本業を持つ個人投資家はなかなかに大変です。特に日本株を投資対象とする場合は働いている時間に取引が行われ株価が動きますから、大きな動きがあるときは仕事中も気になって仕方がないのではないでしょうか。米国株ならば深夜時間帯に取引されますからまだマシと言えるかもしれません。
キャピタルゲインを求める投資は好況期及びグロース株(成長株)と相性がいいと思われます。好況時は株価が伸びやすいですし、成長性の高い企業ほど人々の期待を受けて株価が伸びるからです。
ただし、グロース株は利益を投資家へ還元しないことが多いです。さらなる成長のために利益を自社へ投資するからです。その代わり風向きがいい間は比較的株価は急上昇するので、うまくやれば短期で大きなキャピタルゲインを得ることができます。
最近までのFANGに代表されるようなハイテク銘柄にリーマンショック後から投資していた人は、資産を何倍にも増やしたのではないでしょうか。
しかしながら、不況時など市場全体が下げている時や業績悪化、悪いニュースがあったときは株価が大きく下がりますし、配当が無い(あるいは少ない)ので株価下落に対するプロテクター(高配当なら株価下落によってさらに利回りが上がるので買いが入り、下落幅が抑えられることから)、補填要素がありません。
インカムゲイン狙いに比べると、キャピタルゲイン狙いはハイリスクハイリターンと言えるのではないでしょうか。リスクを常にコントロールする自分なりのやり方を必要とします。
配当益インカムゲイン
一方、インカムゲインでは配当による利益を求めるため、日々の株価変動を気にする必要はあまりないと言えます。バイ&ホールド、つまり買ったら売らないですから。ただし、買ったら放置していればいいわけではなく、業績悪化による減配あるいは増配停止に注意する必要があります。
配当収入を得るわけですから狙うのは高配当かつ増配し続ける銘柄となります。配当は企業の利益から出るので、20年~30年以上の長期間安定した利益を出し続ける企業(ディフェンシブ銘柄)を選ぶことも重要となります。米国であればコカ・コーラやプロクター&ギャンブルのような生活必需品、AT&Tやベライゾンのような通信、あとはマクドナルド、ジョンソン&ジョンソン、たばこを扱う銘柄などでしょうか。
なお、日本には高配当、連続増配銘柄は少ないです。株主還元よりも内部留保を優先する企業が多いからです。
近年では株式よりもリスクが低いと言われる米国債券の利回り上昇により、高配当ディフェンシブ株から債券への資金流入もありますが、現在10年物が利回り3.2%程度で推移しており、高配当株にまだ優位性があると思います。
インカムゲインを狙う際の難点は高配当ディフェンシブ銘柄は大きな株価成長が見込めないという点です。成熟した企業で自己投資による利益成長が期待できない代わりに配当による株主への還元を行っています。
株価が上がらないおかげで配当利回りが低下しないので配当狙いであればいいのですが、短期で儲けることができません。20~30年かけて保有株を積み増し続けることで資産と配当収入を増やすことになります。
市場暴落は高配当戦略にとってチャンス
これは当然株価が下がることで各銘柄の配当利回りが大きくなるからです。暴落時はお買い得になるということです。インカムゲインを狙う者にとっては(売らないので)下落は問題とならず積極的に買いに向かうべきです。一気に全財産買うということはしませんが。
反対にキャピタルゲインを求める場合は暴落時になかなか買いに向かうことができません。どこまで下がるか分からないので怖いからです。
ちなみに市場暴落があればほとんどの銘柄は株価が下落しますが、株価が下がったからと言って必ずしも業績に影響があるわけではありません。
株式市場が不調でも世の中が不況でも、紙おむつやトイレットペーパー、洗剤は変わらず買いますし、スマホやインターネットの契約を解約したりはしませんので、そういったものを扱う企業の利益は好不況に影響されにくいのです。
特に最近の米国市場の停滞は、今まで市場を牽引してきたハイテク銘柄の先行きが不透明になったからです。生活必需品を扱う企業の業績は関係ありません。
つまり、市場暴落で高配当ディフェンシブ銘柄の企業利益が小さくなるわけではないので、(利益から出される)減配や連続増配停止の要因もありません。
本格的な市場全体の暴落が始まったならば、高配当ディフェンシブ銘柄を恐れず買い向かうことで回復期には資産が増えますし、配当収入を増やすチャンスだと捉えてみては如何でしょうか。
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